ポスドク、博士問題記事

最初この記事を読んだときに、果たして博士号をどのように位置づけているのか不明だったが、大学に残すのではなく、企業向けに育成するということみたいだ。しかし最近の大学院乱立に対しては、今後どうなっていくのだろうか?

学部卒業、3年で博士号・東工大に新コース
 東京工業大学は企業で即戦力になる博士を短期間で育成するため、4月から大学院に新コースを設ける。学部卒業後ただちに大学院の博士課程に入学できるようにし、博士号を取得するまでの期間を従来の5年から3年に短縮する。企業が求める高度な専門知識を持つ若い研究者を育てることで、大学で深刻な問題になっている博士号取得者の就職難を解決する狙いがある。

 新設するのは「博士一貫コース(仮称)」で全部で45ある博士課程専攻のうち数学など理学系を除くほとんどの専攻に導入する。1学年200人程度と、博士課程の半分を新コースに切り替えることで、将来的に大学に残る博士の数を減らす考え。 (日本経済新聞2006/01/29 16:52)

上の記事に関連して、日経ビジネスでも、ポスドク問題などに対して、特集している。アメリカの後追いではもうだめだろうと思う。かといって対案があるわけでもなく、なかなか難しい問題です。

起業大国を目指す日本の実態
 日本はいつのまにかベンチャー大国、いやベンチャー天国になっていたという事実に驚きを持たれた読者は多いのではないでしょうか。実際、我が国では2日に1社のペースで「大学発ベンチャー」が生まれています。産学連携や大学発ベンチャーなどのうたい文句で年間投入される国費が7000億円にも上ろうとしていることを考えると、さすがにもう少し投資効率を意識してみてはと言いたくなります。
 ハイテクを中心とする起業創造で米国に相当の後れを取った以上、ここは国費=税金を投入しても挽回を目指さなくてはならないという気持ちは分からないでもない。しかし、米シリコンバレーの勃興は技術の優劣を厳しく見定め、効率よく資金を供給する民間ベンチャーキャピタル抜きに語れないことを思い返す時、公共事業として起業大国を目指す「日本病」のアナクロニズムを感じざるを得ません。(編集長)

■特集
  「ポスドク1万人計画」という政策があります。日本の科学技術力を向上させるため、博士号を持つ非常勤の研究者(ポスドク)を増やそうと1996年に閣議決定されました。たしかに研究者層は厚くなりましたが、急増したポスドクの行き場がありません。教授などのポストは簡単には増やせないからです。困った文部科学省は、来年度から「科学技術関係人材のキャリアパス多様化推進事業」を開始するため、7億4600万円を概算要求しました。
  研究者だけ厚遇されるのはなぜか。就職先が見つからない女子学生のため税金が投入されたという話は聞いたことがありません。博士号を取るほど優秀であれば、自分の進路は自分で切り開いてほしいものです。特集では政府頼みの産学連携の限界をまとめました。異論や反論があれば、ぜひ実名で編集部にお寄せください。(坂田 亮太郎)